環境への取組み

EU RoHSなどの環境規制

RoHS(特定有害物質使用制限)指令とは、電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する2011年6月8日付け欧州議会・理事会指令2011/65/EU (Directive on the Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical Equipment)のことで、NECA会員企業が製造・販売する機器もこれに従う必要があります。

そのため、NECA環境委員会では、他の工業会等とも連携し、RoHS指令の動向を常にウオッチするとともに、規制の延長などのロビー活動等も行っています。

ここでは、EUの主な法体系について、RoHSのミニ解説、WEEEのミニ解説、日本の環境法体系等に関して記載しています。

なお、最新の動向に関しては、「環境関連動向報告」も参照ください。

EU(欧州連合)の主な法体系について

(免責事項)本解説はNECAで内容を保証するものではありません。 2008年9月1日 Ver.1

近年、EUの環境に関する規制により、企業はこの対応に追われています。
この規制については、その種類によって拘束力が異なりますので、対応のために知っておく必要があります。
関連するものについて簡単に解説します。

1.EU規制の種類について

EUの規制には、規則、指令、決定、勧告及び見解の5種類があります。その概要を,以下に示します。

(1)規則:Regulation (REACHなど)
EUの規則は、欧州連合の加盟国の法令を統一するために制定され、その国に直接の効力を持ち、
個々の国に効力をもたらすための国内法を必要としません。すべての国内法に優先します。
規則は次の2つに区分されます:
・基本規則:ある事項を統制する本質的なルールを確立し、通常議会によって採択。
・執行規則:技術的にこれらの原則を整理し、EC条約の条約211条を基礎にして委員会と議会によって採択。

(2)指令:Directive (RoHS、WEEE、ELVなど)
EUの指令は、含まれている目的が国内法に置き換えられたときにのみ各国に効力を持ちます。
EU加盟国によって作成された(相互に束縛される)集団的決定であり、欧州閣僚理事会と欧州議会においてその国の閣僚により可決します。
なお、国内法への置き換えに際し、加盟国にはある一定の裁量権が与えられています。
そのため、すべての加盟国の法令が完全に同一になるわけではありません。
指令は、国内法の統一ではなく、調整を目的とするというのは、そのためです。
指令は、加盟国に一定の判断権限を与え、緩やかな統合を実現するために適した法令ですが(別の観点から述べるならば、国内法の統一が困難な場合に制定されます)、特に、域内市場の分野において多用されています。
また指令は、定められた期間内に国内法に置き換えられなければならない(EC条約第249条第3項及び第10条第1項参照)ということも決められています。

(3)決定:Decision
欧州連合の決定は、その当事者(加盟国、会社又は個人)を対象にして具体的な行為の実施あるいは廃止等が直接的に適用します。
決定の採用のための立法手続きは、課題となる事項により、共同決定、賛成、コンサルテーションの3つに分類されます。

(4)勧告:Recommendation
EUの勧告は、加盟国、企業及び個人等に一定の行為の実施を期待することを欧州委員会が表明するものです。
拘束力はありません。
単に義務的な力の欠如で指令と異なっているだけで、加盟国の立法の準備を目的とする間接的な法律文書です。

(5)見解:Opinion
EUの見解は、特定のテーマについて欧州委員会の意思を表明したもので、拘束力ありません。
*以上の5つの法令の性質・効力は、EC条約第249条内で定められており、まとめると下記の通りである。

法令名相当する 国内法対象者法的拘束力直接的効力
規 則一般の法令加盟国、私人すべての点において有
指 令一般になし加盟国その目的に関してのみ有加盟国が置き換えを怠っており、規定が無条件かつ明確にさだめられている場合は有
決 定行政規則主として私人、加盟国 (通常、対象者を限定 して発せられる)対象者に対してのみ有
勧 告行政措置私人なしなし
見 解

2.EUの法体系について

EU(欧州連合)は,経済的な統合を中心に発展してきた欧州共同体(EC)※)を基礎に、欧州連合条約(マーストリヒト条約)に従い、政治・経済・司法・軍事等の社会的なあらゆる分野での統合を目指す国家連合体です。
※):欧州経済共同体(EEC),欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)及び欧州原子力共同体(Euratom)の3つの共同体の総称。
EUは3本の柱を束ねる「屋根」ともいわれており、その3本の柱は欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が消滅し、現在は下記のもので構成されていいます。
第1の柱:欧州共同体、シェンゲン庇護・移民政策、欧州原子共同体
第2の柱:共通外交・安全保障政策
第3の柱:刑事に関する警察・司法協力
このEUを実現・運営するための枠組みとしての法体系は、
・第1次法:条約
・第2次法:条約に従い連合の機関によって作成された規則、指令、決定、勧告、見解
というソースで構成されています。第1次法、第2次法の概要は下記の通りです。

(1)第1次法:条約(メインの条項:欧州連合の条約)
EUは、条約に基づき発足し、また、条約に基づき重要な機構・制度改革がなされてきました。
これらの条約(その議定書、付属文書を含む)は第1次法とよばれ、EUの憲法として、
①EUの目標、重要な諸原則、
②機構制度、
③立法制度、
④諸原則の重要事項について、
また、⑤EU市民の権利について定めています。

(2)第2次法:規則、指令、決定、勧告、及び見解
第1次法が定める目標を実現し、第1次法を補うために、EUの諸機関が第1次法に基づき諸機関が制定した法令や欧州裁判所の判例法も重要な法源であり、第2次法とよびます。

3.EC環境政策の目的と原則

ECの環境政策は下記の目的と原則に基づいておりますので、 これを知っておくことが環境規制を理解する上で大切です。

(1)ECの環境政策の目的(EC条約第174条第1項)

・環境の保全、保護、改善
・人間の健康の保護
・天然資源の慎重かつ合理的使用
・地域または世界環境問題に関する国際的取組みの促進

(2)ECの環境政策の原則(第174条第2項第2文)
・環境破壊を事前に予防すること(予防・防止原則)
・環境破壊は、まず、発生源において取り除かれるべきであること
・その費用は汚染者(汚染国)が負担すべきであること
 

参考文献
日本電子株式会社 松浦徹也
株式会社 堀場製作所
平成国際大学法学部 入稲福 智
東京大学 中村民雄 「EU RoHS & WEEEの動向」
「有害元素分析セミナー テキスト」
「EU法講義ノート 2006」
「EU法の挑戦と比較研究」

 

RoHS指令概要ーミニ解説

(免責事項)本解説はNECAで内容を保証するものではありません。 2007年1月20日 Ver.3

RoHS指令について

電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び 理事会指令(Directive 2002/95/EC of the European Parliament and of the Council of 27 January 2003 on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment)のこと。 この英語の頭文字をとってRoHS指令と呼んでいる。
RoHS指令の特徴は、指令(Directive)であり、WEEE指令と同様にEU各国で法制化を行うことによって効力を有する。なおWEEE指令と異なりEU条約の第95条を基準にしており、EU市場での統一した基準を作ることが狙いであるので原則として国による差異はない。

RoHS2ミニ解説

RoHS2に関して、PDFでミニ解説をしております。

ご興味のある方は、ダウンロードしてご覧ください。

 

WEEE指令概要

(免責事項)本解説はNECAで内容を保証するものではありません。 2005年10月27日 Ver.1


指令名

WEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)
廃電気電子機器指令

目的

電気・電子機器廃棄物(WEEE)の発生予防を最優先目標とし、これに加え廃棄物処理削減のために、
この種の廃棄物を再利用、リサイクル、或いはその他の形で再利用することを目指すものである。

適用範囲

1.附属書IAに規定されるカテゴリーに属する電気・電子機器に適用される。
その製品が、本指令の適用範囲外の別の製品の一部をなすものである場合には、これを除く。
2.附属書IAに規定されるカテゴリーに属する製品のリストを、附属書IBに揚げる。
加盟国の安全に関する基本的利益の保護に関連した製品、武器、弾薬、軍需品は
本指令の適用範囲から除外される。

定義

「電気・電子機器」または「EEE」とは、それが正常に機能するために電流または電磁波を必要とする機器、
及びこのような電流または電磁波を再生、伝達あるいは測定するための機器で、附属書IAに規定される範疇に含まれ、かつ交流1000ボルト以下、直流1500ボルト以下での電圧で使用されるよう設計されたものを指す。

施行日

2005年8月13日

処理設備に関する情報

加盟国は、2005年8月13日以降に上市される電気・電子機器の製造業者はいずれも、その機器に付したマークで明確に特定できることを保証する。

本指令がカバーする電気・電子機器のカテゴリー

附属書IA(カテゴリ)附属書IB(カテゴリーに属する電気製品リスト)
1、大型家庭用電気製品大型冷却機・冷蔵庫・冷凍庫・洗濯機・乾燥機・食器洗い機・調理機具・電気ストーブ・電子レンジ・電気暖房機具・エアコン等
2、小型家庭用電気製品掃除機・編機・アイロン・トースター・電気コンロ・コーヒーミル・ドライヤー・電動歯磨・マッサージ器・時計・はかり等
3、情報技術・電気通信機器コンピュータ・ミニコン・パソコン・ノートパソコン・プリンター・コピー機・電気、電子タイプライター・計算機・FAX・テレックス・電話・携帯電話等
4、民生用機器ラジオ・テレビ・ビデオカメラ・VTR・ハイファイオーディオ、アンプ・楽器 等
5、照明機器蛍光灯・ナトリウムランプ、ハロゲンランプを含むランプ類・照明制御装置。但しフィラメント電球を除く
6、電気・電子工具(大型の据付型製造業工具を除く)電気ドリル・電気鋸・ミシン・溶接機・はんだ用具・噴霧機器・芝刈機等
7、玩具並びにレジャー、スポーツ器具電動列車あるいはレーシングカーセット・ビデオゲーム・スポーツ用具用コンピュータ・電気或いは電子部品を含むスポーツ器具・スロットマシーン
8、医療関連機器(すべての移植機器及び 汚染機器を除く)放射線療法機器・心臓療法機器・透析機器・肺疾患用送風機・原子核医療機器・試験管診断用実験装置・分析機・モニタ機器 等
9、監視及び制御用機器煙探知機・暖房調節機・自動調温装置・家庭用或いは実験室器具として、測定、計量、調節を行う機器・工業用設備の監視、制御機器等
10、自動販売機飲料販売機・食品自動販売機・現金引出機等

マーキング

電気・電子機器の分別回収を表示するシンボルマークは、下記に示すように、車付のごみ箱にX印をつけたものである。このマークは、明瞭で、判読しやすく、かつ消えにくいものでなければならない。

 

REACH規則ミニ解説

(免責事項)本解説はNECAで内容を保証するものではありません。 2013年1月23日 Ver.3

REACH規則について

欧州におけるこれまでの化学物質に関する規制を包括的かつ実効的なものとするために2003年10月に欧州委員会が提出した規則であり、2007年6月1日に発効した。
REGULATION (EC) No 1907/2006 OF THE EUROPEAN ARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 18 December 2006 concerning the Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals (REACH), establishing a European Chemicals Agency, amending Directive 1999/45/EC and repealing Council Regulation (EEC) No 793/93 and Commission Regulation (EC) No 1488/94 as well as Council Directive 76/769/EEC and Commission Directives 91/155/EEC, 93/67/EEC,93/105/EC and 2000/21/EC
このthe Registration, Evaluation, Authorisation of Chemicalsの頭文字をとってREACHと呼んでいる。
REACH規則はWEEE指令やRoHS指令と異なり、規則(Regulation)であり、発効すると各国における立法措置は必要なく適用される。
また、EU条約の第95条を根拠にしており、EU市場で統一したものとなる。

1.REACHにいたる経緯

1967年に日本の化審法に相当する67/548/EEC(危険物質のラベリングと梱包に関する規制)ができ、度々改正されてきた。
規則793/93/ECにより、1971年1月1日から1981年9月18日の間にEC市場にあったとされるものは既存化学物質と呼び、10万以上の物質がリストアップされ、また1981年以降の物質については新規化学物質と呼んで、 3,800以上の物質がリストアップされている。

しかし、化学物質の評価試験を国が行うことにしたため、例えば1993年以来141の大量に流通する化学物質のリスクアセスメントがなされただけで、評価が完了したのは27物質にすぎない。従って10万にも上る化学物質の評価が滞っており、抜本的な改善が必要とされていた。

この反省をもとに2003年5月に67/548/EECの大幅な改定案としてREACH規則が提案された。このREACHによりいままでの40におよぶ化学物質に関する法律が、一つの規則に置き換わることとなった。

2.REACHとはなにか

対象:物質の製造・輸入・上市・使用。 物質は、物質(substances)そのもの、調剤に含まれるもの(in preparations)、成型品に含まれるもの(in articles)に分類される。
全ての物質は、その範囲(scope)から明確に除外されない限り、この規則の対象となる。
しかし、医薬品は他の規則で十分規制されているので除外、また水や酸素、特定の希ガスやセルロースパルプなどリスクが小さく除外されるものもある。

目的:労働者および一般大衆の健康と安全の改善
環境保護-大気・水・土壌の化学物質汚染と生物多様性への損傷の回避
競争的・革新的な化学産業の維持

3.REACHのはたらき

3‐1.用語の説明

これからの説明で使用する用語について説明する。

・物質(Substance):
 自然状態のまま製造工程によって得られる化学元素とその化合物を指し、その安定性を保ち使用工程で生じる不純物を防ぐのに必要な添加物を含む。
 但し当該物質の安定性に影響を及ぼさず、またその組成を変えずに分離することのできる溶剤は除く。なお、このSubstanceを化学物質と訳す場合もあるが、ここでは広く“物質”と訳す。

・調剤(Preparation):
 2つ以上の物質(Substance)からなる混合物又は溶液を指す。

・成形品(Article)について:
 成形品とは、その化学組成よりも機能を指向するよう、特定の形状、外面、あるいはデザインを付与された物を指します。電気・電子部品などはこの成形品に該当する。
 なお、樹脂の場合は、成形品自体が規制対象ではなく構成する物質、モノマーが対象となる。

下記は、化学物質の有害・有毒性を層別、ランク付けするための用語である。
-CMR: carcinogenic, mutagenic properties and those toxic for reproduction
  発癌性、突然変異性やこれら催奇性の有害性がある化学物質
-PBT: Persistent, Bioaccumlative and Toxic
  難分解、生体蓄積、有害な物質
-vPvB: very Persistent and very Bioaccumlative
  超難分解、超生体蓄積な物質
-POPs: persistent organic pollutants
  残留性有機汚染物質

・SVHC(substances of very high concern)について
高懸念物質と訳されている下記に該当する物質
(a) CMR 物質カテゴリー1 または2 に準拠し、発がん性、変異原性、生殖毒性としての分類のクライテリアを満たす物質
(b) PBT 物質に準拠し、難分解性、生物蓄積性および毒性を有する物質
(c) vPvB 物質に準拠し、極めて難分解性で高い生物蓄積性を有する物質
(d) 内分泌かく乱性、難分解性、生物蓄積性および毒性を有するか、または極めて難分解性で高い生物蓄積 性を有するために、上記項目(a~c)に記載するその他の物質の影響と同等のレベルの懸念を生じ、REACH 第59 条に定められる手続きに従って、ケースバイケースで特定される物質
SVHC(Candidate List)
http://echa.europa.eu/web/guest/candidate-list-table
SVHCに収載されている物質は2012年12月現在で138物質が特定されている。

3-2. 登録 (Registration)

製造者/輸入業者は、年間生産量/輸入量が1トン以上の物質/調剤について化学品庁(Chemical Agency)に登録する。
-登録しないものは製造や輸入が許可されない
-製造者/輸入業者は、対象となる物質のリスクアセスメント情報が必要となる
登録するドキュメント(registration dossier)
-technical dossier
 生産量、物質の性質、用途および用途ごとの想定される暴露、物質の分類・ラベリング、物質の安全データシート(SDS)
-10トン以上の場合にはCSR(chemical safety report 後述)も必要となる

詳しくは6.登録の要件を参照

スケジュール

発効は2007年6月1日、既存物質については予備登録することにより、上記のスケジュールのように登録が猶予される。
この経過措置(規則が発効後11年)の対象となるのは約30,000物質になる見込み

3-3.評価  (Evaluation)

総トン数を暴露(リスク度合)の潜在指標としている。
(1) 製造者/輸入業者は、年間生産量100トン以上の物質について
-全ての保有データの提出を行う。その量により、提出した情報の質の裏づけにされる
-今あるデータでは不十分で追加試験(莫大な投資が必要な試験 脊椎動物を使用する試験など)を行う必要がある場合、付属書VIIとVIII(後述)で要求する試験をするための提案を登録時に行う
-この提案はAgencyで試験の妥当性や生体動物試験が必要か検討がされる
(2) 100トン以上は約5,000物質が該当すると見込まれる
(3) 評価には2種類ある
-Dossier evaluation: 登録時の報告書(Dossier)の質的な確認
 ・テスト計画の妥当性のチェック。テスト実施前に専門家によるチェック
 ・コンプライアンスチェック。本規則の登録時の要件を満たしているかチェック
-Substance evaluation: 専門家により、人の健康や環境へのリスクを明らかにするために、産業界に更なる情報を要求する。

3-4. 認可 (Authorization)

(1) SVHCである物質/調剤は原則上市禁止であり、もし使用する必要があるときには認可が必要となる
認可対象の物質は付属書XIVのリストに収載され、それらを使用する場合は、認可を受ける必要がある。
付属書XIVのリストには2011年2月に最初の認可対象物質6物質が収載され、2012年2月に8物質が追加されている。これによりリストへの収載物質は14物質(2012年2月現在)となっている。また、2012年9月には8物質を追加する付属書XIVの修正案がWTOへTBT通告されており、2013年3月に公布予定となっている。
COMMISSION REGULATION(EU)No 143/2011 (2011/2/17)
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2011:044:0002:0006:EN:PDF
COMMISSION REGULATION(EU)No 125/2012 (2012/2/14)
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2012:041:0001:0004:EN:PDF
(2) 特定用途向け販売には、産業界が極めて小さいリスクであること等の証明が必要
(3) 約1,400~3,900物質が該当すると見込まれる
・申請者は物質・調剤の製造者又は輸入者(又は川下ユーザー)。
・認可保有者・川下ユーザーは、上市する前にラベル上に認可番号を記載。
・川下ユーザーは、初回上市から3ヶ月以内の使用状況を化学品庁に届出。(注意事項)認可には数量ベースの適用除外はないので注意が必要。
認可物質リスト 付属書XIV
http://echa.europa.eu/addressing-chemicals-of-concern/authorisation/recommendation-for-inclusion-in-the-authorisation-list/authorisation-list

3-5.制限 (Restrictions)

・制限を受ける物質の規制が守れない場合は、認可申請を行い許可されなければ使用できない
・従来、制限に関する規定(ある危険な物質、調剤および成形品の製造、上市および使用の制限)は「指令76/769/EEC」により定められていたが、2009年6月に指令76/769/EECがREACH規則の付属書XVIIに盛り込まれ、制限に関する規定が引き継がれている
・POPsの禁止についてはより制限を強化する
対象物質は、付属書XVIIに記載されており、その制限条件を順守しない限り製造、使用、上市してはならない。(REACH条文141条)
この制限を守れない場合でも、認可手続きにより許可される場合は使用することができる。(注意事項)制限には数量ベースの適用除外はないので注意が必要。
制限物質の中には物質/調剤だけでなく成形品も対象とするものがある。
付属書XVIIは制限物質の追加、制限条件の変更などの修正がなされ、記載される物質は63物質群となっている。(2012年10月現在)

3-6.届け出(Notification)

成形品中の物質が次の2条件を満たす時には、届出が必要
・生産量/輸入量が年間1トン以上
・SVHCを0.1w%超含有

3-7.サプライチェーンへの情報伝達

・REACHにおける情報伝達は、製造者/輸入業者のみならず、顧客、つまり下流のユーザーやディストリビューターについても取り扱う物質の安全に関する情報を確実に伝える必要がある
・つまり、健康、安全、環境に関する特性、リスクやリスクマネージメントの評価結果がサプライチェーンの全ての当事者に伝わることが要求される
・基本ツールとしてはSafety Data Sheets Directive (91/155/EEC)及びその最新修正2001/58/ECから引き継がれたREACH規則を利用する。
・登録時の化学的な安全へのアセスメントにおいて、暴露が明らかなシナリオはSDSに添付され、サプライチェーンに伝達されなければならない

3-8.監督官庁 欧州化学品庁(略称 ECHA)

・EUの監督官庁として、欧州化学品庁(略称ECHA)をフィンランドのヘルシンキに設置
・この監督官庁は、技術的、科学的、行政的な面での管理を行う
-取締役会(Management Board)
-事務局長(Executive Director)取締役会に報告
-リスクアセスメント委員会、社会・経済分析委員会
-加盟国からなる委員会
-活動遂行上で情報交換を行うためのフォーラム
-Chemical Agencyの決定を監査する委員会・REACH-ITとよぶインターネットを使用して登録などの情報交換を行うこのシステムはEU域内でしか使用することが出来ない。従って、登録が必要な場合EUに会社を作る等の措置が必要になる
・REACH-ITシステムで使用するIUCLID5というXMLプロトコルを使用する。

4.REACHの現在の状況

・2003年10月   欧州委員会による提案
・2005年11月17日 欧州議会の第一読会終了
・2006年6月    欧州理事会による共通の立場
・2006年11月   最終合意(議会と理事会)
・2006年12月13日 欧州議会の合意採択
・2006年12月18日 欧州理事会の合意採択(満場一致)
・2006年12月30日 REACH規則の官報公示
・2007年6月1日  発効
・2009年6月1日 付属書XVIIの制限物質の規制適用開始
 付属書XIVのSVHC物質の第一弾の登録
・2012年2月14日 付属書XIVのSVHC物質の登録数14物質
・2012年9月18日 付属書XVIIの制限物質の登録数63物質
・2012年12月19日 SVHC (Candidate List)収載物質の登録数138物質

5.登録に関するスコープ

以下に、登録に関するスコープをフローチャートで示します。


登録のスコープ

6.登録の要件(その1)

・登録文書の主項目
-1t以上:固有の性状
-10t以上:化学物質安全性報告書(CSR)
・段階的な試験
-1~10t:入手可能な情報+付属書VIIの物理化学的性状(優先物質については付属書VIIの全情報)
-10~100t:付属書VII及びVIII
-100~1000t:付属書VII及びVIII、付属書IXの情報のための試験の提案
-1000t以上:付属書VII及びVIII、付属書IX及びXの情報のための試験の提案

6.登録の要件(その2)

登録の要件に関して、表にまとめたものを下記に示します。

登録の要件(その2)

6.登録-OSOR

登録ーOSOR


・ 共通のデータ提出:義務(免除される場合あり)
-不均衡な費用
-商業的機密
-データ選択に関する意見の不一致

7.成形品の対応

・登録 次の2つを満たすもの
-意図的に放出される物質がある場合
-1t/年以上で存在する物質
なお、成形品から意図的に放出されていなくとも、リスクが存在するような物質については、化学品庁が登録を要請することができる。
・届出 非常に懸念が高い物質(SVHC)で次の2つを満たすもの
-1t/年以上で存在する
-濃度上限値0.1w%超である
物質の全ライフサイクル期間中に一般大衆又は環境の暴露が除外されえない認可対象リストに物質が掲載されて6ヶ月間後に適用される
消費者の要求があれば消費者にも無料で当該物質の情報を、要求を受けてから45日以内に伝達する。
(REACH条文33条)
このSVHCの物質は付属書XIVで規定される。

8.化学物質安全性報告書 (CSR)

年間10トンを越える物質はChemical safety report の提出が必要となる。
物質の危険度の分類(hazard classification)
PBT(難分解、生体蓄積、有害な物質)かvPvB(超難分解、超生体蓄積な物質)かどうかの評価
危険と分類した場合や、PBTやvPvBにおける場合、決められた用法における暴露のシナリオ
暴露が明らかなシナリオの場合は、下流のユーザーとディストリビューターに供給される安全データシート(SDS)に添付する必要がある
化学物質評価の費用を軽減するために複数社でコンソーシアムを組むことが出来る。

この資料は、European Commissionが2004年9月15日に発行したWhy do we need REACH? REACH in briefと、その改訂版February 2007及び2007年3月4日開催のREACH国際市民セミナー 環境省のサイト情報などに基づいています。
REACHの情報は次のURLから入手できます。
http://ec.europa.eu/echa/
環境省のサイト
http://www.env.go.jp/chemi/reach/reach.html

 

ErP枠組み指令

ErP指令は、エネルギー関連製品(energy-related products:ErP)に対するエコデザイン要求事項設定のための枠組みを構築する指令(DIRECTIVE 2009/125/EC OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 21 October 2009 establishing a framework for the setting of ecodesign requirements for energy-related products)であり、この ErP 指令は、その前の EuP 指令(Energy-using products)2005/32/EC の対象範囲をエネルギー使用製品からエネルギー関連製品に拡張したもので、基本的な要求事項(第 5 条から第 20 条)は若干の修正がある部分もあるが、基本的に EuP をそのまま引き継いでいる。

このErP指令について、PDFでミニ解説をしております。

ご興味のある方は、ダウンロードしてご覧ください。

 

環境関連の国内法

以下のPDFにて、日本の環境法体系ミニ解説、化学物質規制に関する管理体系、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(いわゆる化審法)のミニ解説をしています。

是非、ダウンロードしてご利用ください。

日本の環境法体系ミニ解説

化学物質規制に関する管理体系

化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)ミニ解説

 

中国RoHS

以下のPDFにて、いわゆる中国RoHSについてのミニ解説をしています。

是非、ダウンロードしてご利用ください。

改正中国RoHS(電器電子製品有害物質使用制限管理弁法)

 

 

 

 

CONTENTS

環境関連動向報告
CONTENTS-01
有害化学物質対策情報など
Sustainable Society
CONTENTS-02
エネルギー最適化に貢献する
NECA製品の紹介など
EU RoHSなどの環境規制
CONTENTS-03
EU RoHSなどの環境規制情報など
Activities
CONTENTS-04
セミナーの紹介、ガイドブックの
発行など