防爆安全ツールのご紹介について

NECA防爆委員会では、防爆安全の啓発のために様々な取り組みを行ってきました。このページでは、長年にわたり発行してきた「防爆安全ガイドブック」とその簡易版「防爆安全パンフレット」のご紹介と、NECAが推奨するSBA-Ex取得者の声について掲載しています。ぜひご覧いただき、防爆安全について学ぶ際にお役に立てください。

1.防爆安全ガイドブック

防爆安全ガイドブックは、防爆安全に係ることが網羅された教科書と言える冊子です。防爆電気設備の点検について、具体的に分かり易く記載した適当なガイドが欲しいとのご要望に応えるために企画され、2009年3月に第一版が発行されました。

その後も防爆指針が更新されるたびに改定を重ね、2022年4月にEx指針2020に対応した第4.1版を発行しています。

防爆電気機器の点検保守や更新を促進するだけではなく、防爆安全に対する啓発と防爆電気機器の点検保守に携わる方々の知識習得などに、少しでもお役立ちいただければ幸いです。

編集者より

Q1 防爆安全の重要性について

産業設備分野では、2003年頃より大規模プラントでの爆発火災事故が多発し、経済産業省はじめ各省庁でも、産業保安、労働安全、消防防災の観点から、産業保安関連事故防止対策について、検討、対応が行われています。しかしながら、2024年度の1年間でも、愛知県刈谷市の工場、静岡県沼津市の水素工場の破砕機、徳島県鳴門市の医薬品の製造現場、大阪府門真市にある塗装工場で爆発事故が相次いで起こっています。こういった事故が起こると、現場で作業する方に死傷者が出たり、経営者が責任を問われるなど、大変なことになってしまうという印象です。事故を未然に防ぐためにも、防爆電気機器を使用した防爆性能の維持は、産業保安の観点から非常に重要と言えます。

Q2 防爆安全ガイドブックの編集のポイントは?

防爆安全機器メーカが集まる防爆委員会では、設備の使用者に対して、高経年化機器の点検や更新を推奨していますが、まだ十分とは言えません。防爆安全ガイドブックはそういった状況を変えるために制作されたのですが、まずは現状を知っていただくために労働災害発生状況推移のデータの提示しました。さらに防爆安全の専門書でありながら、安全とリスクアセスメントをはじめとする基礎項目、防爆に関する国内規格、国際規格について解説、次いで詳細な保守点検を説明する流れとしました。

図表やマンガを多用したこともポイントで、防爆初学者の方が学ぶハードルを感じないよう工夫しました。今後も、Ex指針の更新に合わせて改定を重ねていく予定です。

購入者のご所属企業(一部抜粋)

  • 産業用ポンプメーカー
  • 表示灯メーカー
  • 切断装置、プレス装置および包装機メーカー
  • 計測、制御、監視技術製品専門メーカー
  • ネットワークカメラ製造メーカー
  • 消臭剤、防虫剤、除湿剤メーカー
  • 食品加工機械メーカー
  • ガス取扱い企業
  • 電子部品、電気機器メーカー
  • 精密測定器、産業用ポンプ、食品包装機メーカー
  • 産業用電気ヒーターメーカー
  • 防災設備メーカー

以上をはじめとする、多くのメーカー企業、消防署、学校など、様々な業種の方にご購入いただいています。

防爆安全ガイドブックは、NECAウェブサイトにて販売しています。ご希望の方は申込用紙に必要事項をご記入のうえ、webmaster@neca.jp までご連絡ください

 

2.防爆安全パンフレット

2024年1月に開催された、IIFES 2024に合わせて制作された本パンフレットは、来場者の方々に防爆安全の重要性を訴えることを念頭に置いて制作されました。

限られたページ数で防爆安全を詳細に解説することに苦心しましたが、防爆安全ガイドブックと同様に、理解しやすい内容となるよう図表を多用しています。防爆安全のクイックガイドとしてご利用ください。

防爆安全パンフレットはこちらからダウンロードが可能です。

 

3.セーフティベーシックアセッサ:防爆電気機器安全分野(SBA-Ex)取得者コメント

セーフティベーシックアセッサ:防爆電気機器安全分野(SBA-Ex)は、防爆電気機器を使用する方々に、国際安全規格に基づいた安全の考え方の普及させ、防爆安全に対する正しい知識を身に付けるために、2011年に創設されました。2025年11月現在、2,180名の資格者を数えその規模は拡大しています。

このページでは、資格を取得した方々が、どんなきっかけで取得したのか、どのように業務に役立てているかについて伺いました。ぜひご覧ください。

百竹 渉 様 IDEC株式会社 グローバル開発統括本部 JP HMI&Safety技術部

弊社では、防爆検定を取得した製品を多数開発・製造しております。

製品を開発するにあたって防爆知識を有することが必要なため、SBA-Exを取得しました。

製品開発においては、どのような防爆構造・性能であれば技術的に実現可能で、市場ニーズに応えられるか、また本安機器とバリアの組み合わせの検討など、防爆検定取得のためには防爆知識が必要となるため、まず初めにSBA-Exの資格を取得することで、防爆知識の基礎を固めることができました。基礎知識があってこそ、新しい製品を生み出すことができますので、SBA-Ex資格は多くの防爆機器開発の礎となっていると感じています。

岩下 雄大 様 旭化成エンジニアリング株式会社 計装制御技術部

当社は化学プラントを中心にエンジニアリング業務を行っています。

防爆機器や防爆工事の設計・施工に携わる中で、体系的に防爆電気機器の安全知識を学ぶ機会の少なさに課題を感じ、SBA-Ex資格を取得しました。現場経験やハンドブックだけでは得られにくい防爆の基本から実務に直結する知識までを、講義や試験を通じて整理・習得できたことは大きな収穫です。取得後は、設計やレビューの場面において技術的な判断や提案に自信が持てるようになり、資格の裏付けも加わって説得力が向上しました。今後は若手技術者への教育や、より安全な防爆設備の構築に資格の知見を活かしていきたいと考えています。

川津 孝圭 様 アズビル株式会社 アドバンスオートメーションカンパニー IAP開発部 製品認証グループ

当社アドバンスオートメーション事業では、工場市場向けの計測制御機器やシステムの開発から保守までを一貫してご提供しており、防爆電気機器の開発・製造も手掛けております。

私は防爆認証の取得、維持、管理全般に携わるとともに、その一環で社内向けの防爆教育講座の講師も務めてまいりましたが、自身の経験分野に偏りがあることに課題を感じておりました。そのような中、SBA-Ex資格およびそのテキストである「防爆安全ガイドブック」は、防爆機器の保守点検を中心に、広範な防爆技術の基礎を体系的に学ぶうえで大変有益でした。実際に資格を取得してみて、若手社員への防爆教育にも最適な内容であると確信いたしました。今後はSBA-Ex資格の取得を社内に広め、防爆知識の底上げや円滑な技術伝承を図り、最終的にはお客様の現場における安全につなげていきたいと考えています。

岡 哲史 様 JFEエンジニアリング株式会社 DX本部 DX推進センター 

現在、私は防爆エリアに設置可能な無線LANシステムの開発、及び設計業務を担当している事もあり、防爆技術に関する知識は必要不可欠です。そんな中、SBA-Ex資格の取得は、開発設計業務に必要な知識を深めるだけでなく、防爆工事も含めた防爆電気機器安全分野全般の知識を体系的に理解することができる良い機会となりました。また資格の保有は、お客様への説得力向上と共に信頼獲得につながり、その結果、開発商品(防爆無線LANシステム)の販売促進にも貢献していると考えています。

小日向 宣彦 様 島田電機株式会社 技術部 係長

弊社はコントロールボックス、接続箱、ケーブルグランド等配管付属品を取り扱っており、防爆の知識を深められればと思い、SBA-Exを取得しました。

しかし、後にそれだけではなかったと気付きました。

きっかけは自社製品の説明を込めた顧客向け防爆セミナーの依頼が有り、そこで講師を行った時です。

その時にSBA-Exの取得は自身の知識を深めるだけではなく、そのようなセミナーの際に発言の説得力を増してくれるものと気づきました。

今後も知識を絶えず吸収し、日々精進していきたいと思います。

澤田 康介 様 星和電機株式会社 照明システム事業部 技術開発部 商品開発課

SBA-Exを取得した理由は、今後、防爆照明の開発・設計に携わるうえで必要な知識であると考えたこと、加えて会社からの推薦があったことがきっかけです。取得後は、防爆に関する基礎知識を習得できたことで苦手意識が薄れ、自信を持って防爆関連業務に取り組めるようになりました。これにより、防爆分野における開発・設計業務の効率化が図られ、関係者との円滑なコミュニケーションにもつながっています。実務においても、非常に有益な知識となっています。

外尾 紘太郎 様 株式会社中村電機製作所 開発技術部

当社は創業78年の防爆制御機器製造メーカーとして、日本の防爆業界を支えてきました。

私自身、入社前は防爆について全く知識がありませんでしたが、先輩方の指導のもと、SBA-Ex資格の九州地区団体試験を受験し、知識を深めました。

取得した資格は、設計・製造・保守点検などの実務において非常に役立っています。今後も学びを続け、防爆業界と社会に貢献していきたいと考えています。

花房 祐子 様 Nemko Japan Ltd 製品認証部 マネージャー

ノルウェーの認証機関 Nemkoグループ日本支社の製品認証部で、ATEX/IECEx/NRTL などの海外防爆認証をはじめとする製品認証業務を担当し、近年はサイバーセキュリティや AI 認証にも活動の幅を広げています。

この業界でのキャリアは、ATEXエキスパートおよびIECEx 要員認証の取得、さらに2013 年に取得した SBA-Ex 資格をきっかけに始まりました。現在は、製品認証に加え、ISO/IEC 80079-34 防爆品質システムの工場監査員およびISO 9001 審査員として、世界各地の法令遵守の確保と品質向上に努めています。

SBA-Ex 防爆安全ガイドブック講習で学んだ防爆理論を基礎に、国際的な視点と柔軟な対応力を活かしながら立会試験や海外試験所との調整、通訳支援など実務経験を重ねることで理論と実践の両面から理解を深めてきました。これまで培った知識と経験を活かし、Nemko の国際認証サービスを通じて、世界の製品安全と信頼性の向上に貢献していきたいと考えています。
今後も国際的な視野を持ち、安心・安全な社会の実現に寄与できるように努めてまいります。

新江田 翔太 様 株式会社宮木電機製作所 第2技術部防爆生産設計課

当社は防爆製品の製造にかかわる事業も展開しており、私はその中でも防爆製品の設計業務に従事しております。

日々の業務の中で複数の種類の防爆製品の図面を作成するのですが、その製品がどのような性質を持ち、どういった目的で生産される防爆製品なのかをより明確に知るために今回のSBA-Ex試験に参加しました。試験と試験のための勉強を通して、設計に対する知識だけではなく全体的な防爆安全への理解がより深まりました。今後も得られた知識を活用してより一層日々の業務に取り組んでいきたいと思います。

 

SBA-Exの受験に関しては、日本認証株式会社が対応しています。受験をご希望の方は、以下のウェブサイトをご確認ください。

日本認証株式会社 ウェブサイト:https://www.japan-certification.com