社団法人 日本電気制御機器工業会

講演④「国際標準化における日欧企業の戦略的協同」

一橋大学イノベーション研究センター 教授
江藤 学先生
江藤 学先生

これからの標準化環境について、市場が多様化した現在ではデファクトを進めるのは困難である。そこでISO、IECが価値を高めてきたが、参加企業の増加によって複数のフォーラムが同時に提案を持ち込むようになった。マルチスタンダード前提で勝てる戦略と国際標準を作る戦略の両方が必要だ。

米国は強い政治力と企業の行動力で独自標準を世界に広めて市場を取る。中国も国内市場を守る一方、独自標準を世界に広めている。

日本の高性能、多機能、高品質に対し、新興国市場は必要性能を主要機能に絞る。高品質とは何か再考が必要だ。少人数でいいものを作るよりも逆に多くの非熟練労働者が働けるという環境が重要である。安全に対する考え方の違いとして、ゼロ災害のために人を訓練するのが日本の安全の考え方だが途上国には機械指令の「事故は必ず起こる。だから安全は設備側で守る。」の考え方で行くべきだ。

新興国にとっての国際標準を取り入れる利点は特定の国・企業の支配を排除できること、労働者にとってはほかでも通用するスキルになること、そしてマニュアル化されていることである。途上国を国際標準にただ乗りさせれば市場は大きくなる。そこでシェアを取っていくという戦略が重要だ。

標準化における欧州の強みは、①欧州は27カ国が話し合い合意を取るという文化がある点。②性能標準を徹底化している点。③EU委員会とCEN/CENELECが連絡を取りながらISO/IEC をコントロールしている点。この中に入り情報を早く正確に取ることが重要。④欧州では標準化を民間団体が行える。自由度が上がり、ビジネス的に活発に動けるためメリットが大きい。一方、日本は、経済産業省の組織の一部であり制限が多い。⑤欧州の認証機関は海外進出の禁止されている日本の認証機関にくらべ圧倒的に情報を持っているということである。

最後に、日本と欧州が組む最大の利点は、標準化活動には必須な仲間作りにある。米国や中国の企業に比べると欧州と日本は市場の重なりが少ない。敵の敵である欧州と良い関係を築くことは有益だ。日本の脆弱な認証機関も欧州の認証機関と連携することで支援が得られる可能性がある。

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