社団法人 日本電気制御機器工業会

講演② IEC 適合性評価システムの相互認証による国際貿易の円滑化

Executive Secretary & COO, IECEE & IECRE Mr.Kerry McManama

Mr.Kerry McManama

安全は、製品をグローバルに流通させるための世界共通の考え方です。その中で活用されている、IECにおける適合性評価システムを利用した国際貿易について紹介します。

IECでは、家庭やオフィス用の機器から電力・運輸等のインフラ用システム機器に至るまで、あらゆる分野における電気・電子機器の相互運用性や安全性、廃棄管理や環境に関する事項を取扱っています。IEC加盟国は166カ国に上り、これは実に世界人口の98%を占める規模です。WTO/TBT協定に基づき、IEC規格に準拠した製品は世界中の国々で流通しています。IECの活動には、世界的な大企業から中小企業まで様々な企業が参画しています。多くの製品やシステムがIEC規格に基づいて製作され、IECの適合性評価システムにおいて評価されています。IECへの参画と活用は、企業にとっては自社ビジネスに繋がる技術情報などの収集に効果的です。また世界中でIEC規格に基づいて標準化された機器が入手可能であることから、それぞれの企業は公平な立場で効率的で高品質な製品作りに取り組むことができます。世界的な市場規模に占める電気・電子部品の取引高の割合は12%(2,382兆USD)と、エネルギー分野の16%に次ぐ規模を誇り、今日のグローバルな市場環境の中で、共通した安全性と信頼性を担保したものづくりを進めるためには、それらに対する国際的な整合性が必要です。IECはこの国際市場の発展のために欠かせない整合化を、規格とともに評価システムを作ることで推進しています。IEC加盟国のほとんどは、国際的な取引における技術障壁を無くすために、IEC規格を電気・電子機器分野における技術基準として扱い、自国の法規への展開に活用しています。

IECの適合性評価結果の証明書は世界各国において広く受け入れられています。この適合性評価システムには世界各国から何千もの試験機関が参加しており、それぞれの機関は他の機関からの適合性評価結果レポートを受け入れる仕組みとなっています。そのために重要になるのは加盟の試験機関に参加が求められる「Peer Assessment」と呼ばれる仕組みです。どの試験機関における試験であっても共通の結果が得られるように、IEC規格に基づく評価についての専門知識とノウハウを持った専門家によって運営されています。またこの適合性評価システムを適切な機材と技術的知見をもって運用することを目的として、IECはILAC及びIAFとMOUを結んでいます。3者でIECEEの専門家の知見に基づく評価プロセスの適正化を行うことで、個々の試験機関の評価結果により高い信頼性を持たせ、評価に関わる人員の専門知識を強化しています。認証書はシステムにより管理され、認証番号や製品、人の場合はその人の力量が検索できるようになっています。これにより評価結果の公平性を保ち、虚偽の情報などによる市場への影響を避けることができています。

IECの適合性評価システムのメンバーは、ISO/IEC17025及びISO/IEC17065に基づく提携関係にあり、この評価システムはIECにとって、そしてもちろん世界的な産業にとって非常に重要なものです。試験や評価とその結果の証明といった一連のスキームはこのシステムの重要な構成要素として確立され、運用していますが、危機管理の面やフレキシビリティ、透明性、スピード感などの点において改善の余地を残しているのも事実です。市場のニーズにスピード感を持って応えるためには個別スキームの設置や、要員の育成も必要であると考えます。そういった点でもNECAの要員能力の評価スキームについては高い関心を寄せています。

IECでは、一つのCABという組織のもとにIECEE、IECEx、IECQ、IECREという4つの適合性評価システムを保有しています。IECEEは、1985年にCEEの評価システムをIECのCBスキームとして統合する形で発足したもので、これは第三者評価をベースとするスキームであり、製品を提供する人または法人から独立している人または団体によって実施されるものとして定められています。現在参加国は54カ国であり、先進国のほとんどが含まれるほか近年では途上国の参加も増えています。また製造拠点の国際的な拡がりに伴い、試験機関の数も年々増加傾向にあります。

IECEEが扱う安全の分野は、電気安全分野に加えて環境という観点でも拡がっています。電気・電子機器の安全性の一つの側面として、環境保護のための製品のリサイクル時、処分時の安全性があり、それらを安全に行うためには機器に含まれる物質の種類とその健康への潜在的危険についての知見を持つことが必要です。従って製造者は、自社の製品にどの物質がどれだけ含まれるかを把握し、求めに応じてそれらの情報を伝えることができなければなりません。IECEEのHazardous Substances Programではこの情報作成を助けるためのガイドラインを提供しており、今後も内容を拡充していく予定です。

最後にIECの適合性評価システムを活用することのメリットについて改めて述べます。まずはIECそのもののブランドイメージです。国際的に広く認知されているIECのシステムに基づくことは、国際的な信頼性を得るための一つの近道です。またシステムそのものの公平性、透明性とその運用規則の明確さも重要なポイントです。システム運営には産業界からの直接の意見を反映できる仕組みがある一方で、その仕組をIECが運営することにより、適合性評価システムに参加している認証機関・試験機関によって提供される評価プロセスの一貫性が保たれています。

IECは電気・電子機器に関するソリューションの提供とともに、専門家集団としての知見を活かして適合性評価システムの運営を続けています。そしてこの適合性評価システムを通じて、IECEEにおいては今後も電気・電子機器の国際市場への流通を支える「パスポート」を提供し続けていきます。

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