社団法人 日本電気制御機器工業会

開催スピーチ「食の安全を支えるスマートアグリの展望と農業制御技術に関する日欧戦略的協同」

駐日欧州連合代表部 一等書記官 Ms. Mervi Kahlos

Ms. Mervi Kahlos

EUと日本が直面する最も重要な成長の機会について、科学技術での戦略的協力の可能性、それとEUと日本の貿易と投資のつながりについて述べる。

農業科学と技術の拡大市場の背景には、人口の増加、西欧のライフスタイルを志向する新興国の急速な成長など、農業・食品部門が直面するグローバルな課題があり、FAOの予測だと、現在の消費パターンが続けば、2005年から2007年比で、2050年までに60%食料を増産し、農業の方は、環境に影響を発生させずに、また耕作面積を大きく増やさずに収量をあげていく必要がある。

現在EUではスマートで持続可能な包摂的な成長と雇用創出のためにEU2020戦略を打ち出し、イノベーションユニオン(総合的、戦略的なアプローチのもと、研究者やイノベーターがEU全体で協力できるようにする取組み)というものを確立しようとしており、そのもとで知識の自由な移動を可能にし、グローバルな課題に対処することができるようになる。

EU2020戦略とイノベーションユニオンを実際に実施していくために、ホライズン2020年というEU過去最大の研究イノベーションプログラムを導入して動き始めており、2014年から2020年の間に800億ユーロが支出され、それが呼び水となってさらに民間の投資も導入されるということが期待されている。国際的パートナーとよりよく協動したいと考えており、この研究開発プログラムを海外のパートナーにも解放している。ホライズン2020年の下での資金提供の内容は、複数年にまたがるワークプログラムの中に規定されており、これが支援の主体をなしている。このワークプログラムの中には、未来新規技術、ナノテクロノジー、先進材料、食品の安全保障、持続可能な農林業等、18のテーマがある。各テーマプログラムの下に細かいトピックが規定されていて、それに沿って資金がホライズン2020年の下で提供される。

さて新しい技術の利用というのは急激に拡大しているが、その普及の度合いは世界の各地で異なっている。持続可能な農業のために、技術開発が大きく役立つが、一方でこの新しい農業技術に関して、たとえばGMO遺伝子組換え作物に関しては、安全性あるいは倫理上の社会的懸念があるということで規制が強化されているという側面がある。よい規制があることによって、産業界、消費者双方に利益のある市場が円滑に機能することになる。

それから長短両面ある問題を解決するための客観的な研究活動が必要である。EUと日本との協力ということを考えてみると、やはりEUでは科学技術とイノベーションというのが付加価値の高い分野の鍵になると思っている。特にEUと日本の協力を期待して見ており、それに先立つものが学術的な協力があり、成長につながるものであるし、人と人との交流というのがやはり科学技術の協力の元となる。それはEUが私どもの協力、そしてトレーニング分野でサポートしている。また農業セクタでの成長をサポートするということでは、研究所や大学がとても重要であり、それに加えてイノバティブ、そしてダイナミックな農家が必要である。そして技術トレーニングというものを農家に与えて、その方々が実行に移して商業レベルで実行することが重要であり、農場での行動を変えるということにつながる。

また農業というのが、色々なチャレンジに直面している。これはEUでも日本でも難しくなってきて、セクターが新しいプレーヤー、特に若い農家の人たちが参入するということをしなくなり、しかし収益性や投資への信頼性がないとやはりイノベイティブにならない。そしてそれと同時に農業というのがまさにイノベイティブで見返りのあるビジネスだということを見せるということがとても重要であるし、そうすることによって次世代の人々が、農家の人達が、アドバイザが、エンジニアが、獣医が、科学者がその魅力を感じるようにしなければならない。

次に、EUと日本との貿易、投資の連携について述べる。オープンな開かれたグローバルな市場にすることによって技術の輸出入をやっていくということがとても重要で、その中で2013年3月に、EUが戦略的パートナーシップ協定(SPA)と自由貿易協定(FTA)を日本との間に締結に向けて交渉することに合意した。締結することで、革新的なセクターでビジネスを進めるためにとても重要なものである。EUと日本の間で投資を増していき、規制枠組みをよくしていくことによって、お互いの市場へのアクセスを良くしていきたい。

このオープニングスピーチでお話したいことは、農家の方が新しい農業技術を採用するということが総力ある農業を維持していくための牽引力であり、また新しい農業技術で新しい生産システム、イノベーションに満ちたエンジニアリング、そしてまた作物、家畜の改善へのアプローチが求められる。それをするためには、やはり産官学の協力が必須であり、その中で“変化”、つまり食物農業システムの変化とそのスピードが必要であり、新しいやり方を適用していかなければならない。

ウィンストン・チャーチルの言葉を引用したい。「向上するには変わらなければならない。そして完璧をめざすには常に変わらねばならない」と言っている。

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