社団法人 日本電気制御機器工業会

開催スピーチ「サイバーセキュリティ 制御システムセキュリティへの日欧戦略的協同」

駐日欧州連合代表部 公使参事官、政治経済部長 Mr. Alexander McLachlan

Dr. Uli Wienrich

今回テーマの制御システムのセキュリティからより全般的な戦略的アプローチであるサイバーセキュリティ全般に対し、EUの取り組みについて話す。

EUでは、ICTインフラが民間企業により運用されており、サイバーセキュリティは国家だけの責任ではなく、今回のシンポジウムのような官民を合わせたディスカッションが大切である。

過去5年間、主要国で情報通信技術がGDP成長の20%程度を占めていることからも、経済面でのICTの重要性を示す。現在24億人の利用者がいるが、2020年には倍になるであろうと予想され、まさにサイバーセキュリティは全世界の課題となる。

また、経済問題にとどまらず、ICT技術は社会の発展に欠かせないものになっている。人々を平等にし、生活を豊かに、教育にアクセスし、言論の自由も提供して、人と人をつなげる。

EUにも日本の政府にも、重要なのはその安全性を守るということだ。サイバースペースで、私たちの基本価値である自由と法の支配と人権尊重を守ることが非常に重要である。しかし、どこかひとつの組織によって監視・管理されるものではない。このオープンかつ自由と法の支配と人権尊重は、EUと日本の間で価値観を共有している。一部の国では、日欧と異なり、サイバーセキュリティとは社会統制の手段と認識され、コンテンツ・通信・ソーシャルネットワークをコントロールする国もある。

サイバーセキュリティのインシデントは、非常に増大してきている。それは、産業ネットワークが公開ネットワークとつながっている度合いが増えてきているため、産業界にとっても同様である。

セキュリティの脅威は分類が難しく、国内外、国家の活動、純粋な犯罪行為もある。しかし、脅威の影響により、水道、食料、医療の重要インフラに障害が発生する懸念がある。さらに重大なのは、軍と民間のインシデントの区別があいまいになってきている。

そのため、EUでは昨年2月にサイバーセキュリティ戦略を公表した。11月にはEU評議会のトップが議長を務める日欧サミットを実施し、サイバーセキュリティに対する日欧の取り組みをさらに強化しようとしている。

サイバーセキュリティ戦略では、インシデントの影響低減に取り組み、さらに加盟国・各種機関の協力の下で、ネットワークの堅牢性を高める国際標準を作ろうとしている。

この戦略の4つの重要点を述べる。

1番目に、サイバー攻撃に対する防衛力を向上する。

2番目に、サイバー犯罪を削減することである。つまり警察能力を高め、EU加盟国間で法規制を調整することである。そのため、ハーグにEUサイバー犯罪センターを開設した。

3番目に、EUでのサイバーセキュリティに対する産業・技術的な製品開発への投資を推進し、セキュリティへの対処能力を高めることである。

4番目は、国際協力である。この国際協力に関しては、3要素がある。

第1要素は、サイバースペースの価値、自由とオープンを守ること。脅威が高まっているからといって、検閲・監視を強化すべきではなく、オープンなネットワーク・アクセスは維持しなくてはならない。そのため、政府・企業・市民社会の全ての関係当事者の協力が必要である。

第2要素は、責任あるサイバースペースを構築することである。これは国がリーダーシップをとる必要がある。国家間でどのようなことが認められ、また何が認められないか合意する必要がる。

第3要素は、ICT技術の信頼性が、使用する技術と能力に依存することである。すべての国がサイバーセキュリティに対する技術・能力を持っているとは限らないし、法整備が進んでいるとも限らない。特に発展途上国・新興国での技術・能力を向上し、より安全で高信頼のネットワークを構築することが重要である。

すでにサイバー犯罪捜査に対するブタペスト条約のようなモデルがある。このような既存の枠組みを適用していくかをパートナーと協議していく。この件に関しては、アジアでサイバー犯罪・サイバーセキュリティの分野でリーダーである日本は重要である。

EUにとって、日本はきわめて自然な同盟国で、戦略的協同をとっていくパートナーなのである。

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