震災以降、従来の「需要に合わせた電力供給の確保」のみならず、ピークシフト・カットなど「電力供給に合わせた電力利用」が求められるようになった。このためには、1高性能な省エネ機器の積極的な導入(ハード面の努力)と、2エネルギーマネジメントによる「効率的」で「賢い」省エネの実施(ソフト面の努力)を車の両輪として進めておくことが必要である。
契約電力500KW以上の特高・高圧大口需要家ではエネルギーマネジメントシステムの普及が進んでいるが、経済性の観点から高圧小口需要家、低圧需要家への普及は進んでいない。数は非常に多いこれらの小口需要家に対し、エネルギーマネジメントシステムを広げていくことが今後の重要な課題である。そこで、複数の需要家を束ね、まとめてエネルギー管理サービスを提供する事業者(アグリゲーター)の果たす役割に期待が高まっている。特に、一定戸数がまとまっている等の特徴を持つマンションは、相対的にエネルギーマネジメントシステムが導入しやすいと考えられるので、マンションをターゲットに導入を進めていく。
エネルギー管理システム導入促進事業費補助金(平成23年度第3次補正予算)では、BEMS(ビルエネルギー管理システム)とHEMS(家庭のエネルギー管理システム)の導入支援を行った。スマートマンション導入加速化推進事業(平成24年度補正予算)では、アグリゲーターを通じて導入されるMEMS(マンション向けエネルギーマネージメントシステム)の設置不要の一部を補助し、スマートマンションの普及を促進する。これにより、MEMS関連機器・サービスに関する民間投資を加速化するとともに、民間主導の市場創出・ビジネスモデル構築を早期に実現する。本事業の評価基準は、終了後も持続可能な経営計画の策定、消費者に魅力的なビジネスモデル、省エネ効果をフォローアップし、特に省エネ効果10〜20%を目指す。
社会全体でエネルギーマネジメントを進めるためには、通信方式の標準化などのルール整備を進めていく必要があり、現在は電力会社とアグリゲーター間の通信方式(デマンドレスポンス手法)の標準化を検討中である。このために、スマートコミュニティ市場獲得に向けた全体戦略を検討する母体として、官民が連携した「スマートコミュニティ・アライアンス」を2010年に設立した。同アライアンスが、実際の案件獲得に向けた受注体制の構築と国際標準化戦略の策定を進めている。
スマートハウス・ビル市場拡大に向けた相互接続性に関する課題は以下の5つがある。
事業促進検討会および関連研究事業を通じて、これらの課題解決を図っていく予定である。