社団法人 日本電気制御機器工業会

講演③「スマートグリッドとその安全性について」

ドイツ電気電子情報技術委員会 (DKE) マネージング・ディレクター
Mr. Michael Teigeler
Mr. Michael Teigeler

スマートグリッドと安全性について、標準化が関わっている理由の一つは電気安全性である。例えば欧州とサハラ砂漠を大規模送電網で結ぶという、デザートテックプロジェクトがあるが、これにはもはや国境は関係しない。このように電気は地球上を駆け巡るから、ワールドワイドなシステムが必要ということになる。世界中どこでも使えるような標準化システムがあり、その標準に適合できればどこでも同じように電気を使用できるようになる。

スマートグリッドと安全性については、いろいろな標準化が関連するが、重要性が高まっているものの一つに情報セキュリティがある。電力システムの管理、それに関連する情報の交換、これらについてはIEC、ISOで既に標準化されている。また、給電の安全性も非常に重要である。グリッド内での安定給電とその信頼性に関わるものについてであるが、残念ながらこの部分では各国の内容の一貫性がなく、国内標準でカバーされているというのが現状である。

ではスマートグリッドに安全性がなぜ重要か。例えば新しいシステムがあるとする。このシステムが独立していればそれほど重要ではないが、システムをグリッドと連携し、電気的に繋がっているばかりではなく、システム間で情報通信のやりとりをおこなうようになると安全性が重要になってくる。個々の安全性の合計よりも全体の安全性での重要度が高まるということになる。

さまざまな標準化について鍵となるのがユースケースである。これは新しいアプローチ方法として、標準・規格の抜けているところを特定していくという方法であり、ゼロから作らなければならないものがないかを特定する事もできる。現在既に500のユースケースが存在する。

ユースケースにより標準化を特定したら、次にリスク評価をおこなう必要がある。標準化の改善が必要かどうかのギャップを特定し、平行してリスク評価を行っていくことで必要性が明確になる。リスク評価により改善要求がでた場合、更に標準化が必要になる場合がある。

次にスマートグリッドでは電力負荷の状況を管理する事も重要である。水力や火力などいろいろな電力を用い、IT技術を駆使し電力コントロールをおこなうことで、電力負荷をシフトすることができる。例えば将来電気自動車が普及し、電力コントロールされていないグリッドシステムに入って充電をおこなうと、システム全体が停電してしまう事が予想される。各種デバイスにインテリジェンスを持たせ、蓄電情報などを有効活用することで電力負荷をシフトすることができる。インテリジェントなグリッド間の負荷バランスをとることで、結果として理想的な電力管理が出来るようになる。

EMC(電磁両立性)も大きな問題である。ドイツではいくつかの地域で大規模な電力線通信をおこなう計画がある。電力線に平行してデータ通信をおこなう場合、無線通信の障害、電磁的問題を発生させないようにしなければならない。既にいくつかの標準化があるが、電力線通信が大規模になるとさらに問題となる可能性がある。

最後に標準化を進めていくにあたり、既にさまざまな規格やいろいろな手法があり、実際に適用していく事が可能である。スマートグリッドをよりよくしていくために考えながら進めていかなければならない。

またユースケースについては情報通信技術と相互運用性として使うばかりではなく、将来的には安全やリスク分析にも活用することが出来る。

今後エネルギーサプライチェーンが根本的に変わると、既存の標準も将来的なニーズに対応するために再検討が必要になるかもしれない。インテリジェントな情報通信技術を系統に導入するとリスクにも繋がるが新しいチャンスにも繋がってくる。

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