社団法人 日本電気制御機器工業会

講演③「模倣品対策に関する日本国政府の取組」

経済産業省 製造産業局 模倣品対策・通商室 模倣対策専門官、弁護士
墳﨑 隆之 氏
墳﨑 隆之 氏

任期付職員として経済産業省の模倣品対策・通商室にて模倣品対策に当たっている。本講演では皆様の視点から模倣品対策に役立つ日本政府の取組を紹介する。当部署では、模倣品・海賊版に関する政府の総合窓口で、皆様からの相談を一元的に受付け、警察庁や外務省など関係省庁と連携して受付けから原則10日以内に回答している。主な相談は、第一に国内外の被害事案への具体的な対策の相談で、多くは初めて模倣品対策を行う際の相談であり、対策例などをアドバイスしている。第二は他国政府機関の不合理な対応についての相談、第三は他国の不合理な法制度についての相談である。相談受付件数は情報提供と合わせ2010年に約1,500件、商標権侵害の相談が最も多く、中国関連が全体の半数以上を占め、最近は商標冒認出願とインターネットの相談が急増している。不合理な対応の事例としては、メキシコでの特許権侵害訴訟における審理遅延の相談に対し、日本政府からメキシコ政府に迅速審理を要請した例、中国での模倣品摘発に関連する刑事訴追における中国地方人民検察院の不公正な判断に関する相談に対し、日本政府より中国最高人民検察院へ公正な判断を要請した例などがある。現在最も多い個別相談が中国での商標冒認出願で、日本企業の商標を勝手に中国出願している。この対策は、中国では出願から4ヶ月程度で商標局の検索サイトにて商標出願を検索できる。悪意のある商標出願を発見したら、中国当局への情報提供制度を利用するのが効果的である。情報提供した商標出願の8割近くが拒絶されており、積極的な情報提供をお願いしたい。不合理な法制度改善の対応としては海外知的財産侵害状況調査制度の利用があり、これまで香港での商号不正登記の取消執行に関する法改善、トルコでの商標権侵害の刑事罰とマレーシアでの著作権侵害品の販売に対し法制度の改善を求めている3事例がある。この制度とは別に、中国とは2009年に両政府間で締結した覚書に基づき日中知的財産権ワーキング・グループを設置し、年1回、両国の知的財産権関係の各省庁が一堂に会して様々な知的財産権問題を議論している。これまで3回開催し、昨年はインターネット問題に関し、中国にあるサーバーの日本語サイトへの日本政府の関与についても議論した。ACTAへの中国の参加要請、執行当局の取締強化や不法経営額の適正な算定も議論した。両国の関係省庁間では知財保護に関し4つの覚書を締結し交流・協力関係を強化している。また、両国の政府と産業界合同の国際知的財産 保護フォーラム、中国政府職員の日本招請や日中合同シンポジウムにて中国政府へ法制度・運用面の改善を働きかけている。これら活動の結果、他人の商標を無断で使用する看板問題の改善について両政府間で合意議事録を作成するなど成果が出ている。マレーシア、インド、ドバイなどへも模倣品対策を働きかけ、中小企業での侵害調査費用の国負担の制度も設けた。

以上のように、日本政府として中国や各国の政府に模倣品対策を働きかけているが、これら働きかけは皆様からの問題提起があって初めて実行できるものであり、模倣品問題について気軽に相談して頂きたい。

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