社団法人 日本電気制御機器工業会

講演①「SIEMENSの国際標準化戦略とIECにおける日欧標準化連携」

Chairman of IEC/ACOS,
Head of “Safety and Electrotechnology” of Corporate Standardization and Regulation,
SIEMENS AG
Mr. Friedrich Harless
野間口 有氏

かつて標準化作業は製品開発後に行っていたが、開発と並行して進めるようになり、いまではシステム要件を標準化してから開発着手するほどに標準化作業が重要視されている。Siemensの標準化の対象地域も、当初のドイツVDE、DINからIEC、ISO、ITUと欧州全域、そして世界へと拡大している。Siemensは現在世界193カ国で販売活動を行っているので、国ごとの取引障壁、特に関税以外の技術的な障壁を軽減させる活動に興味を持っている。そのためには、標準化と規制(Standard & Regulation)戦略が重要である。

標準化の5つの原則は、①地域依存しない(国際標準化)、②技術的基本要件から逸脱しない、③製品設計を標準化しない(製品の機能要件に限定する)、④安価/有用/有益である、⑤過度の標準化をしない(詳細化が必要なのは、安全、健康、環境だけ)である。

また、規制の5つの原則は、①過度の規制化をしない(技術詳細化や標準化は事業参加企業による)、②立法と規制の矛盾がない、③第三者認証の抑制(製造者の適合宣言による)、④各国固有の適合スキームがない(ひとつの標準規格、一度のテスト、世界中で販売)、⑤製品ラベル/マークの混乱がない(数多くのマークをつけない)である。欧州では、安全、健康、鉄道などが規制の強い分野となっている。EU委員会は、EU指令(Directive)と関連する標準規格との検証作業を行い、指令と規格の整合性を保っている。

S&R戦略は、環境・エネルギーの新しい分野であるスマートグリッドでも重要である。これは直流を多用するが、交流に比べてスイッチ、コンセント遮断時の火花が大きいため、安全要求が厳しくなる。そのため、スマートグリッドに関する標準化と規制の作業が始まっている。その大綱は、①規制は性能目標のみ、②国際的整合性 = 国際規格の参照、③世界市場へのインパクト = 国際標準化、④基本規格と製品規格の策定である。

具体的な活動としては、IECはスマートグリッドの戦略グループを発足させ、関連する100余りの規格の改訂作業に着手した。EUもスマートグリッドのフォーカスグループを2010年に発足させ、欧州要求仕様やEN規格の策定の準備を始めた。ドイツDKE、米国NISTも標準化の準備を進めている。

国際市場は国際標準を求めており、企業の標準化戦略は経営に強く関連する。標準化は機能と試験に限定すべきであり、規制は標準規格を参照して基本要求のみに徹するべきである。また、第三者認証制度はいくつかの特別な分野にのみ限定すべきであると考えている。

Copyright 2001 - 2018 NIPPON ELECTRIC CONTROL EQUIPMENT INDUSTRIES ASSOCIATION