社団法人 日本電気制御機器工業会

持続可能な社会への取り組み

最初にNECAの将来ビジョンについて説明します。2011年5月に(一社)日本電気制御機器工業会は将来ビジョンを策定し、2011年から2020年までを第1ステップ(基盤構築期)、第2ステップ(加速期)、第3ステップ(完成期)とし、中長期における活動方針及びその計画を明確にしました。その中の環境への取組みの概要について説明します。

環境への取組みの骨格は、2010年11月に発行されたISO26000社会的責任の指針に準拠しています。NECAでは、この指針で挙げている4つの環境課題から下記3項目を採用しました。

  • ・気候変動緩和及び適応(地球温暖化対策)
  • ・持続可能な資源使用
  • ・汚染予防

環境面では、この3項目を中心に取組み、持続可能な社会(Sustainable Society)実現に貢献してゆくことを、この将来ビジョンで掲げています。
その環境課題に対するNECAの取組みの概念図を下記に示します。


図1 環境課題に対するNECAの取組みの概念図

以下では、その中からこの本題である「持続可能な資源使用」について説明します。

1.持続可能な資源使用の重要性

主に地中より採掘される石炭、石油、鉄鉱石などに代表される鉱石・鉱物などの天然資源の枯渇への警鐘は1970年代より出されています。特に1972年に発行された、ローマクラブの「成長の限界」"The Limits to Growth"の論文が有名です。また、1970年から2000年までの現実のデータと、「成長の限界」の今のやり方のままのシナリオを研究者が比較して、現実は「成長の限界」の予測にほぼ沿って進んでいることがわかっており、成長の限界によると、今のやり方のまま何もしないでおくと2030年ごろよりこの破局が顕著になるとしていることが現実味を帯びてきています。従ってこのままでは人類の破滅・国際紛争にもなる大きな時限爆弾が爆発することが間近に迫っており、国際的な取組みが求められています。

持続可能な社会構築に関する日本でのレポートで著名なものの一つに、旭硝子財団が出した生存の条件(Conditions for Survival)がありデータも豊富です。下記サイトで公開していますので参照ください。
http://www.af-info.or.jp/survival/index.html

上記問題が急激に顕在化することになった要因を考えると、特に20世紀以降の技術革新による経済成長・食糧増産が可能となり人口の急激な増加が可能になったことが主要要因ですが、人口増加及び地域の経済発展に伴い資源の消費が増大しています、以下では天然資源枯渇延命への取組みの重要性について考えてみたいと思います。


図2 環境白書H24年度版より引用

図2を参照してください。環境白書H24年度によると、H21年度の統計では天然資源などの投入量は13億700万トンであり、循環利用量は2億2900万トンと総物質投入量の約14.9%であり、その値は徐々に向上しています。
しかしながら、全世界の視点から見ると人口増及び途上国の経済発展に伴う天然資源の消費拡大など、自然増として天然資源の枯渇に対するリスクが高まっています。資源枯渇を延命し、資源循環により代替する理由は主に2つあると思います。一つはよく言われている採掘や資源を取り出した残土を減らすことによる環境保全です。もう一つは資源の需要と供給のバランスが崩れることによる資源価格の高沸を抑制するためです。これは資源調達での国家間の紛争を防ぎ、また物価上昇など国民生活への悪い影響を防止することにあります。いわば国家、地球全体の安全保障政策、戦略として、上記状況を背景に今後ますますその取組みの重要性が増してゆきます。

2.日本の取るべき進路

日本は資源循環に関して国民、地方自治体がリサイクル等への取組みに対しても協力的でありリサイクル率などを見ても先進的ではありますが、CO2に代表されるような国際的な観点及び取組みが資源循環についても求められるので、資源循環についてのシステムや技術開発を日本が先導し、純粋な資源の効率化に貢献するだけでなく、国際協力や国際分業などを広めることなどにより紛争を回避し、友好関係を諸国間で構築可能とする橋渡しをする等で国際貢献する意義は極めて高いものと言えます。

この資源循環に関連する取組み事例などをNECAとしても紹介し、この取組みに貢献したいと考えています。

3.NECAでの取組み

図1の概念図中の持続可能な資源使用で示してありますTR-25 電気制御機器の環境アセスメントガイドブック 第2版を2011年3月31日に発行しました。このTR-25 第2版はNECA会員だけでなく広く活用していただけるようにNECA環境のホームページにて公開しています。このTR-25 第2版は、時代の進展に伴い環境負荷低減のための新たな考えや技術が開発されるなど,地球環境保全の取組み状況が大きく変化してきたことなどに鑑み,“製品のライフサイクルを通して効果的な環境負荷を低減するための設計・開発,製造,使用,廃棄など”の普及,促進を目指し,それらの取組みにより持続的発展が可能な社会の構築に寄与することを意図して改訂したものです。

持続可能な資源使用への橋渡し:
今回の第2版の改訂では、ライフサイクル思考の考えも導入していますが、そのライフサイクルにおいて製品に使用している素材を把握するためのツールとして「製品のインベントリ簡易分析テーブル」を考案しました。TR-25のP17を参照ください。この製品に使用されている主要素材を把握することで、環境負荷の高い素材を発見し環境負荷の低い素材使用への切替えをすること、またリサイクルできる素材及びその量を把握することにより、資源循環にも役立てられるのではないかと考えています。

4.UNEPによるResource Efficiencyの取組み

国連環境計画(UNEP)が、持続可能な社会の構築、それを実現するための持続可能な消費と生産(SCP)の実現及び資源を効率的に使用する等の普及・啓蒙活動を行なっています。これらを実現するために商品やサービスについてライフサイクル視点より持続可能な資源管理を推進することに取組んでいます。
http://www.unep.org/resourceefficiency/

UNEPについて: United Nations Environment Programme = 国連環境計画は、1972年6月ストックホルムの国連人間環境会議で採択された「人間環境宣言」及び「環境国際行動計画」の実施機関として同年設立されました。

5.日本における資源循環の取組み

3R(削減、再使用、再利用)推進:
資源循環の取組みは持続可能な社会構築のための施策の一部ではありますが、日本では資源循環の基本政策・方針としてスリー・アール(3R)の実施を推進しています。この3Rについては、下記経済産業省のホ―ムページを参照ください。
http://www.meti.go.jp/policy/recycle/index.html
3R:Reduce (リデュース、廃棄物の発生抑制)、Reuse (リユース、再使用)、Recycle (リサイクル、再資源化)

リサイクル法:
資源有効利用促進法が上記3Rを実施するための法律ですが、個別分野での3R・リサイクル実施を推進するために次のリサイクル法があります。

  • ・容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)
  • ・家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)
  • ・建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)
  • ・食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)
  • ・自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)

日本の環境法体系ミニ解説でリサイクル法に触れていますので御覧ください。
https://www.neca.or.jp/green/japanlaw/

さらに小型家電リサイクル法(使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)が2013年4月1日より施行され、対象となる電子機器製品が拡大されました。

6.EU(ヨーロッパ連合)の取組み

EUではWEEE(電気電子機器の廃棄時のリサイクルシステム)などに代表される資源循環の取組みを先導してきており、UNEPにおける活動においても中心的な役割を担っているといえます。しかしながら、WEEEだけでなく他の分野においても対象とし、かつEUのアプローチであるビジョンを作り上げ統合された政策・計画として取組み、UNEPの取組みと区別する為かResource Efficientと命名しています。このEUのResource Efficientについては、その行動計画である
Roadmap to a Resource Efficient Europe  COM(2011) 571 finalの本文を和訳したので参照ください。
(注) COMはcommunicationで報告書の意味です。

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