〇近年、ブランド品や家電だけでなく、制御機器関連の製品などのいわゆるBtoB製品でも絶えず模倣品被害が報告されています。
〇海外は日本以上にECサイトが普及していますが、ECサイトで販売されている制御機器にも模倣品が混在しているケースが見受けられます。
〇模倣品の制御機器を使用することにより、リスクの生じる可能性があります。
1. 現状
NECA会員企業に対し、制御機器の模倣品被害がどれぐらい認識されているのかを調査するアンケートを随時行っています。
2016年のアンケートでは、回答した会員企業のうち半数以上が模倣品の被害を受けていると認識していることがわかりました。
また、このようなアンケート以外でも、絶えず制御機器関連の模倣品被害が報告されています。特に、BtoB製品は継続的取引となることが多いため、その影響が出ていると推測されます。
また、模倣品の多くは中国で製造販売されているといわれており、中国では独自の模倣品販売チャンネルがあるとのことです。
近年は、ECサイトの発達により、模倣品を発見した会社の6割超はインターネット上で模倣品を販売されています。(出典)2015年度模倣被害実態調査(特許庁)
海外は日本以上にECサイトが普及しており、模倣品が混在しやすくなっています。制御機器の場合は多数の業者が間に入るなど商流が長く複雑になっています。そのため、業者がインターネットで購入することで、正規品と模倣品が混在するケースも多くなっています。
認証を取得していない製品にも、認証のマーキングがされている事例もあります。
![]() 真正品 |
![]() 模倣品(2016年摘発) | |
2. 模倣品を使用することのリスク
模倣品は認証を取得しておらず、安全性や信頼性に問題がある可能性が高いと考えられます。そのため、模倣品だとわからずに模倣品を使用した場合、エンドユーザーの安全が保障されないおそれが出てきてしまいます。
NECA 会員企業が扱う製品はいわゆる制御機器であり、顧客が製造する設備機械などの製品に搭載されてエンドユーザーに提供される形態が主です。しかし、制御機器の安全性や信頼性が保証されないと、制御機器を搭載する設備機械にも悪影響を与え、設備機器の故障、設備機器の異常停止や、緊急時に停止させたい設備機器を停止させることができない事態に至る可能性が出てきてしまします。最悪の場合には、設備機械に使用されている模倣品に起因した事故を引き起こす可能性もあります。
このように、模倣品が使用されることにより、制御機器の顧客や設備機械などのエンドユーザーが負う様々な問題やリスクが増える可能性が高くなってしまいます。制御機器を製造・販売する立場から、このようなリスクが生じないように、顧客・エンドユーザーの安全保護のために模倣品対策を行っている企業も多く存在しています。
3. 参考サイト
4. NECAとしての模倣品対策
NECAでは模倣品対策研究会を設置して、制御機器の模倣品対策として下記のような取組を実施しています。
NECA会員に向けて、「模倣品対策ガイドライン」を2012年4月に、「模倣品対策ガイドライン副読本」を2016年1月に発行しました。模倣品対策の進め方、当研究会に参加している各社での模倣品対策事例の紹介、ノウハウや経験に基づくアドバイスなどを掲載しています。2019年には、ECサイト事例等を新たに追記して「模倣品対策ガイドライン」を現状に合わせて改訂しました。
また、「模倣対策セミナー」を年1回開催しています。経済産業省や模倣品調査会社のご協力のもと、模倣品の対策事例などを紹介しています。
さらに、他業種の会社や団体との交流により模倣品対策に関する情報交換をし、当研究会での検討の参考にしています。
これらの活動の成果が認められ、2018年度NECA委員会功績表彰をいただきました。