社団法人 日本電気制御機器工業会

開催スピーチ「模倣品防止政策におけるEUの国際協力」

駐日欧州連合代表部 公使・副代表
Ms. Maeve Collins
Ms. Maeve Collins

EUの貿易政策の基本は、オープンな市場と強力なルールベースの国際的なシステムがあることである。これにより、成長と雇用の創出を見込むことができる。これは、貿易の相手国にとっても同じである。

高いレベルで知的財産権が保護され、執行されることは、知識基盤型経済にとって欠かせないものである。今後5年間の経済成長の90%はEU域外の新興諸国で起きると言われている。EU企業が、戦略的に投資し、マーケティングや技術的な向上を図り、技術市場のグローバルサプライヤとして成り立っていくために、知的財産権の侵害はあってはならない大きな障害である。

にもかかわらず、EU域外において発生している知的財産権の侵害は、EUに大きな経済的被害を与えているのが実状である。EUの水際での輸入差止件数は、増大を続けており、2010年における差止物品の小売価値は11億ユーロにも上っている。そして、差止めの対象は、ヘルスケア用品などにまで拡がりを見せている。このため、知的財産侵害物品は、健康安全への懸念をも生じさせるものとなっている。また、模倣品がテロリストの資金源になっているのではないかとの懸念も広がっている。さらに、EUの域外での知的財産権の侵害は、市場を奪われているという意味でEU輸出業者に対する打撃にもなっている。

これらの問題点の解決に特効薬はなく、さまざまな取り組みをしていく必要がある。多国間レベルの取り組みとしては、欧州委員会は、WIPOやWTO等の国際的組織を通じてEUの積極的利益代表として知的財産権侵害問題の解決に取り組んでいる。また、複数国レベルの解決策の一つとして、EUは、去る1月26日、東京において模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)に署名した。このほか、二国間貿易協定などにおいて、包括的知的財産権保護条項を設けるようにしている。

さらに、知的財産侵害問題における税関の役割は重要であり、二国間で協定を結び、税関能力を高める取り組みも行っている。

法的手段ではない方法としては、欧州委員会では、主要な第三国と知的財産権問題解決のための対話を行なっている。また、インターネットや開発のような新たな問題にも積極的に取り組んでいる。

こうしたことを含めて、欧州委員会では、2012年の早い段階で、第三国に対する知的財産権戦略の見直しに関する報告書を発表する予定である。

今後、知的財産権の保護と執行には、官民問わず関係者の相互協力がますます重要となってくる。日本との間でも詐欺行為、模倣品などの対策につき、さらに協力を進めていきたいと考えている。

Copyright 2001 - 2017 NIPPON ELECTRIC CONTROL EQUIPMENT INDUSTRIES ASSOCIATION