社団法人 日本電気制御機器工業会

講演①「シーメンスによる成功例 -アジアにおける模倣防止のための知財強化対策-」

Head of Department Corporate Name and Trademark Law, Siemens AG
Dr. Volkmar Bonn
Dr. Volkmar Bonn

中国では、シーメンスに似た商標を付した家庭用機器の模倣品が非常に多く出回っている。しかし、これらを模倣というのは正しくないかもしれない。これらの模倣品は元々我々が作っていない製品だからである。これを新しいビジネス機会であると思う人もいるかもしれない。しかし、我々は非常に深刻な事態と捉え、模倣品に対して強い対策をとらなければならないと考えている。

アジアにおいて、模倣品業者は不法・違法なビジネスを合法に見せかけ、あらゆる法的措置から自分たちを守る手段を持っている。香港への幽霊会社(有名企業名を盛込んだ会社名)の設立や、中国商標局への商標出願である。幽霊会社の申請や商標出願がなされ成功裏に登録されると、模倣品業者に対して法的措置をとることが難しくなる。登記や商標出願は、模倣品業者ではなく、そこと関係する第三者によってなされるからである。しかし、それら全てを捕捉することは困難であるが、ある程度は捕捉できると考える。我々は、会社条例に従い登記所に申し立てすることで名称変更や登記抹消に成功している。一方、中国の商標法では、告示日から3ヶ月以内に初歩査定に対して異議申立をすることができ、我々は毎年平均50件程の申し立てを行い、成功したケースもかなりあった。

法律はとても健全で、当局も協力的である。ただ、これだけの対策が役に立っているのかという疑問がある。幽霊会社を根絶することができないからである。法律や当局が悪いと言うわけではない。問題は、実際に犯罪行為が次から次へと消えることがないということである。

中国に対して何か行動するとき、中国の外から実行することは難しい。我々は、北京において知財担当者や経験者を雇い、彼らと協力し各々の事件で適切な対策を行っている。中国から遠く離れた場所から意思決定することは困難である。中国のことは分からないといっていては始まらない。我々は、色々な経験から法律事務所などの協力者に対して厳しい態度をとることにした。また、協力者に対する教育も必要であると考える。

中国の法務についても知らなくてはならない。例えば、裁判官と会話し、裁判官の意向を探るのも一つの手段である。相手側の債務状況が不透明であれば、訴訟の初めに口座を凍結することもできる。また、停止命令により、再犯しないことを誓わせることもできるのである。

ここで、商標刑事訴追で勝訴した成功例を紹介する。深センのある会社が模倣品を作っているとの情報があり、その模倣品により真正品の売上が落ちていた。長い間、調査を行っていたが証拠を集めることができずにいた。再び調査を行い、十分な証拠を集めることができ、深圳警察が摘発を行った。この模倣品業者を停止し、模倣品の流通網を根絶やしにすることができたのである。

中国の知財保護は可能性がある。標準的な手続きは異議申し立てであり、知財を失効させることに他国との違いはない。しかし、外国の地からそのような対策はできない。中国にプレゼンスを持ち、中国の法律や事情を知り効果的な対策をとれる協力者が必要である。我々はインドにも知財部をおき、すでに良い結果を出している。

すなわち、模倣品に対抗していくためには、現地における協力者がどうしても必要である。そのような協力者を見つけることができれば、勝訴の可能性は大きくなり、見つけられなければ、その確立は低いと言わざるを得ない。

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