社団法人 日本電気制御機器工業会

開催スピーチ②「日本における国際標準化活動の重要性」

独立行政法人産業技術総合研究所理事長
野間口 有氏
野間口 有氏

我が国における標準化が果たす役割は、変遷している。なぜ経営者が標準化を重視しているのか?その意義として考えられるものとして、①一定の品質・安全を保証する②互換性・相互接続性を確保する③マーケットを合理化することで低コスト化し、調達を容易にすること④新しい研究成果で実用化を促進することなどが挙げられる。グローバル化をはじめとする産業界を取り巻く近年の環境は、標準化に対しての理解の必要性を増大させている。例えば、WTO/TBT協定による国際標準の取り扱いの義務化や特許権を含む標準の増加、また諸外国の戦略的な取組みなどが考えられる。我が国の国際標準化への取組みは取り巻く状況への対応としては手ぬるく、反省をしなければならないが、現在では官民あわせてこの標準化の重要性を認識し、Rhode博士も紹介された我が国の戦略として7つの特定戦略分野を選定し、その担当府省も決定し、国際標準の獲得を通じた競争力の強化を目指している。ではなぜ国をあげて標準化に取り組まなければならないのか?その役割の変遷から説明する。過去は我が国独特の自前標準文化の下で自己適合宣言や二者間確認が主流の標準規格であり、当時の標準化は基礎科学の研究より劣るものと考えられていた。現在では、前述の1995年WTO/TBT協定によって、国際標準の重要性が増してきている。日本のJISもIEC規格との一致を推進しているし、東南アジアではJIS規格からIEC規格への移行が進んでいる。さらに、事前標準に知財権(特許)を含んでいる標準規格が増加しつつあり、これは経営者レベルでも新しいことに挑戦でき、また標準化も提案できるということで高く評価する動きに繋がっている。また、マーケットのグローバル化に対応するためには、各々二者間の認証をしていては間に合わないので、第三者による認証が注目され、重要になっている。これからは、地球規模の課題への対応に関連する国際基準(CO2削減手法の検証機関、カーボンフットプリント制度)やスマートグリッドの標準化ルール、高齢者や障害者のニーズを反映した安心安全社会の基盤をつくる基準にシフトしていくと考える。すなわち標準化は、産業の発展を促し、世界貿易をスムーズに拡大することで、多くの人々が恩恵を受け、持続可能社会を実現するのに不可欠な手段である。

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