社団法人 日本電気制御機器工業会

なぜ今、安全か?

明治大学
向殿名誉教授

安全と安心を大切にする価値観が世界の共通理念に

これまでの科学・技術が、我々人類社会に幸福をもたらしたのは事実です。
一方で、負の部分もあったこともまた間違いありません。
しかし、両者を比べれば、明らかに幸福にした正の部分の方が遥かに大きかったはずです。
従って、今後、科学・技術の進歩を止めたり、緩めたりするのは決して正しい方向とは思えません。
21世紀は、人間の幸せの在り方を中心において、正の部分と負の部分との両方を考え併せながら、私達は、更に科学・技術の進歩・発展を目指すべきです。
このことは、21世紀における科学・技術の調和ある発展は、高度化と便利さを追求する一方で、「環境」と「安全」がもう一方の中心でなければならないことを意味しています。

「安全」は、そこに人の価値観が直接入り込んでいるため、地域性、民族性、国民性等の人間性が深く関与しています。「安全」は優れて文化的な側面を大きく持っているのです。“「安全」をどれだけ重視するか”、それがその国民、その民族の文化の度合いを表していると言っても過言ではないでしょう。
そのような中で、今、その「安全」を技術の面から世界的な規模で統一的に考えようとする動きになりつつあります。
科学・技術の発展とグローバル化に起因して、地球が狭くなると共に、地球上の人類は一つであるという認識が生まれつつあるからです。
便利さや財産よりも、怪我をしないように、させないようにする、特に人の命が最も大切であるという、安全と安心を大切にする価値観、これが世界の共通の理念になりつつあります。
この方向は長いスパンで見ると、決して後戻りはしないはずです。

安全技術に果たすべきNECAの役割

我が国は、これまで科学技術の面で、「安全」をどれだけ重視してきたのでしょうか。
日本は、高機能、低価格、小型化等の技術で世界を相手に十分に実力を発揮してきました。
反面、コストを重視するあまり、技術で安全を実現するよりは、現場の優秀な作業者の注意力で安全を確保してきた面が強いと思います。
しかし、人間はいつか間違えるものです。人間に任せる安全は、世界的には、もう認められません。
安全は、まず技術で実現されるべきもの、すなわち機械側で設計の段階から安全は組み込まれなければならないもの、それがグローバルスタンダードの考え方です。
それでも、機械はいつか故障するものです。安全装置も含めて機械側が故障しても、又人間が間違えても機械は確実に停止して人間に危害を加えない構造を組み込む、その上で始めて信頼性高く装置を構成する、ここに安全技術の真髄があります。
今こそ、我が国の技術を安全な機械の設計、製造に向かわせ、安全技術で世界に貢献する時で、事実それは可能なはずです。目標が決れば、我が国は強いからです。

これまで、機械の諸機能は主として制御技術で実現される面が多く、安全も例外ではありません。
我が国が世界に伍して安全な機械を作りあげていくためには、安全設計の基本概念を会得した上で、確実にコンポーネントの段階から安全を作り上げていく必要が有ります。
ここでは各種の安全制御機器、安全制御コンポーネントが鍵を握る事になります。
ここにNECA(日本電気制御機器工業会)の安全技術に果たす重要な役割と活躍の場があります。
しかも、NECAの活躍の場は、日本だけはなく、世界が相手です。NECAの制御安全委員会に期待をする所以です。

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